東京の都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)でのオフィスビルの賃料が、8月期で14ヶ月連続上昇すると共に、空室率が過去最低水準まで低下しているそうです。
三鬼商事の調べによれば、一坪当たりの平均賃料は1万8631円で2003年6月期以来の高水準、空室率は2.98%で1994年12月以後の現在の統計方法で最低となり、特に空室率の低かったのは千代田区と渋谷区だそうです。新規ビルの募集では強気な価格設定をするオフィスビルが多くでてきており、売り手市場の状況を呈してきています。
かつては、東京都心の新規ビル建設ラッシュで賃料の低下と空室率の増加が懸念され、建設されたビルの多くが供給される2003年には大きな問題となると言われました(2003年問題)。ですが実際は、大企業を中心に企業の業績が持ち直し、かえって供給を上回る需要があり、さらなる建設ラッシュを招いています。おそらく日本でこんな状況なのは、大企業本社の集中する東京だけの現象です。
私は仕事で、東京の企業のオフィス需要に関する調査をしたことがあります。その中で、企業がオフィスを構える地域を選定する際に重視するのはどんなことか?という項目があり、結果、「交通の利便性」、「取引先との近接性」など、予想できる範囲の結果と共に、「地域のネームバリュー」というのがありました。すなわち、企業の信頼性やイメージの向上を考えて本社の場所を選定するいうことです。アパレルや出版は、流行の先進性をイメージ付けるために渋谷や青山など、ファッションイメージの先行する地域を重視し、新興企業(特にIT系)は、丸の内や大手町など、名だたる大企業の立地する地域に本社を置くことによって信頼性を高めようとする傾向が出ました。
東京で企業本社の最も集中する地域ってどこだかわかりますか?実は、丸の内でも西新宿でもなく、日本橋や京橋といった、東京駅の東側(八重洲側)の昭和通りに面する一帯なんです。大企業ではないけど。それぞれの業界で確固たる地位を占める中堅どころが密集しています。そして、これら地域一帯は、オフィスの減価償却が一巡し、そろそろ建替えしインテリジェントビル化することが予想されます。そうなると、建て替えを契機に流入もしくは流出する企業が続出するはずです。これから東京ではあっと驚くようなオフィス地域の再編成があるかもしれませんね。意外と、イメージの先行する渋谷や六本木が、日本を代表するオフィス街になっちゃうなんてことが起るのかもしれません。
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